法人課税関係 平成29年度主要税制改正

1.コーポレートガバナンス強化に沿った税制

(1) 申告期限延長の特例

法人税の確定申告書提出期限は、下記の要件を満たすことで、4カ月を超えない範囲内で税務署長が指定する期間、延長させることが可能です。
  (ア)会計監査人を置く会社であること
  (イ)定款等の定めにより、各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に決算についての
     定時総会が招集されない状況にあること

会計監査人を置かない会社も、定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に決算についての定時総会招集されない状況にあれば従来通り、1か月の延長が認めらます。
 つまり、会計監査人を置かない会社は事業年度終了後3カ月以内、会計監査人を置く会社は事業年度終了後6カ月以内の延長が可能となります。

【適用】

平成29年4月1日(譲渡制限付株式及び新株予約権は10月1日)以後の支給に係る決議から適用されます。

(2) 役員給与税制の整備

役員給与の損金算入が認められる3要件(定期同額、事前確定届出、利益連動)及び退職給与の損金算入要件が下記の図表のように見直されました。

【図表】主な役員給与税制の整備

2. 所得拡大促進税制の拡充

(1) 適用要件の見直し

雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度、いわゆる所得拡大促進税制の適用要件を一部見直したうえで、税額控除率が上乗せされます。
 所得拡大促進税制の適用要件は、ア)平成24年度を基準年度として大企業は2%~5%以上、中小企業は2%~3%以上増加、イ)給与等支給額の総額が前年度以上、ウ)平均給与等支給額が前年度を上回る――の3つですが、ウ)に前期比2%以上の要件が加わります。

(2) 税額控除率の上乗せ

所得拡大促進税制の税額控除率は、これまで給与等支給額の増加額に10%の税額控除を認める制度でしたが、大企業は(1)ウ)の平均給与等支給額が前年比2%以上の場合に限り、2%上乗せし12%の税額控除、中小企業は(1)ウ)の平均給与等支給額が前年度比2%未満なら従来通り10%の税額控除、前年度比2%以上になると12%上乗せした22%の税額控除と、優遇されることになります。尚、当期税額の10%、中小企業は当期税額の20%を上限とする点は従来通りです。

【適用】

平成29年4月1日以後(平成30年3月31日まで)に開始する事業年度に適用されます。

3. 中小企業向け設備投資減税の拡充

(1) 中小企業経営強化税制の創設

中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の即時償却または税額控除(中小企業経営強化税制)制度が創設されます。
 中小企業等経営強化法の認定を受けた中小企業者等が平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、ア)生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備並びにソフトウェアで、イ)特定経営力向上設備等に該当する一定規模の特定経営力向上設備等を取得等して指定事業の用に供した場合に、ウ)即時償却又は税額控除(資本金3,000万円以下は10%、それ以外は7%)を認める制度です。

【適用】

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等して指定事業(中小企業投資促進税制の指定事業&商業・サービス業・農林水産業活性化税制の指定事業)の用に供した場合に適用されます。

(2) 中小企業投資促進税制の期限延長

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または税額控除(中小企業投資促進税制)は、対象資産から器具費品を除外し、上乗せの即時償却または税額控除の措置を廃止した上で、適用期間が2年間、延長されます。

(3) 商業・サービス業等活性化税制の期限延長

特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却または税額控除(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)の適用期間が2年、延長されます。

【適用】

(2)(3)はともに平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等して指定事業の用に供した場合に適用されます。

4. 固定資産税の課税標準特例

(1) 対象設備の拡大

償却資産に係る固定資産税の課税標準を最初の3年間価格を2分の1に減額する特例制度について、現行の機械及び装置に加えて、測定工具や検査工具、器具・備品並びに建物附属設備(償却資産として課税されるものに限定)も対象となります。

(2) 地域・業種の限定

固定資産税の課税標準の特例を受けることができる対象地域と対象業種を、(ア)「最低賃金が全国平均未満の地域」は現行のまますべての業種、(イ)「最低賃金が前国平均以上の地域」は労働生産性が全国平均未満の業種に限られることになります。
 業種が限定されるのは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府です。

【適用】

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得した償却資産に適用されます。

5.中小企業の範囲見直し、軽減税率の延長

(1) 中小企業判定基準の見直し

中小企業関係の租税特別措置の適用対象となる中小企業の判定基準について、現行の ア)資本金1億円以下に加え、イ)平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度の適用を停止する措置が講じられます。

【適用】

平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用します。地方税も同じです。

(2) 中小企業の軽減税率の期限延長

中小企業の年所得金額800万円以下に課税される税率を19%から15%に引き下げる特例措置が平成31年3月31日まで2年間延長されます。