税務トピックス~相続について

相続と聞くと、きっと「われわれ庶民には関係ないよ」とおっしゃる方が多いと思います。ですが、今日では、家族関係や夫婦関係の変化によって、相続税を納める必要がない人たちでも、わずかな親の財産をめぐって、相続争いを繰り広げてしまうことは珍しいことではありません。

不要なトラブルや家族間のわだかまりを防ぐためにも、相続について、基礎的な知識から実際に活用できるレベルの知識を、できるだけわかりやすく「Q&A形式」でご説明していきたいと思います。


2009年度の税務トピック2010年度の相続税務トピックそして2012年度の税務トピックスはこちらからごらんください


□ 相続税・贈与税 税制改正

・ 2011/12/18

● 相続税の連帯納付義務の改正

1.連帯納付義務者から相続税を徴収する場合には、連帯納付義務者に対して通知等をすることが義務付けられました。

2.相続税の連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する場合に負担する延滞税が、利子税に代えられることになりました。これにより、現在の延滞税14.6%が、利子税4.3%となります。

平成23年4月1日以後の期間に対応する延滞税に適用されます。

● 住宅取得等資金の贈与税の特例等の拡充

父母や祖父母など(これを直系尊属といいます)から、住宅を取得する目的で資金をもらった場合(これを住宅取得等資金といいます)は、これまでも贈与税は非課税とされてきました。

今回、これに加えて住宅の新築等に先行して、その敷地用の土地などを取得する目的で資金をもらった場合も、贈与税は非課税となります。

この改正は、平成23年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税から適用されます。
また、住宅の新築等は、住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに行われるものに限られるのでご注意ください。


相続が発生すると、預金が引き出せなくなると聞いたので、葬儀費用として母親が亡くなる前に預金から150万円おろしたのですが、そのことで税務署から申告漏れを指摘されてしまいました。これはどういうことでしょうか?

・ 2011/10/16

○ 相続の前にお金を引き出してはいけないの?

最初に、「相続が発生すると、預金が引き出せなくなる」という点ですが、これは相続人が複数いる場合に、「預金が相続人の共有の財産」となるので、みなさんの合意がなければ、つまり、『遺産分割』が終わるまでは、引き出せないということだと思います。

生前に必要なお金をおろせないということはありません。今回のお尋ねの件ですが、税務署が申告漏れを指摘した理由は、引き出された現金の流れが、どこにも記載されていなかったことが考えられます。

よく見受けるのが、引き出したお金で車などを購入したりするケースです。この場合、引き出したお金で車を購入したなら、車という財産として、申告書に計上することになります。

税務署はお母様がお亡くなりになる直前に引き出された現金の使途について説明を求めると思います。葬儀費用は相続財産から債務として計上します。今回の事例では、150万円を預金から引き出した時点で、預金は減り、その分の現金は増えることになります。最終的には、引き出した現金から葬儀費用を差し引いた現金が相続の対象となります。

今回のお尋ねのケース以外にも、意外な盲点があります。例えば、玄関回りや台所、トイレ、お風呂場などをリフォームしたときの工事費などです。いずれも快適さや利便性、美観などが向上していると、財産とみなされます。

詳細は税理士等の専門家にお尋ねください。

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■ 土地の権利書を紛失してしまったのですが……

・ 2011/05/29

○ 権利書(登記済証)が、見当たりません!どうしたらよいでしょうか?

まず初めに、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被害を受けられた皆さま、そのご家族に、心からお見舞いを申し上げます。
 また、災害復興に尽力されている関係者の方々の活動を心より応援しております。

東北地方太平洋沖地震の恐ろしく悲惨な、財産を根こそぎ押し流してしまう『津波』の映像をご覧になり、預金通帳や権利書、実印と印鑑登録証などを確認されたという方も少なくないと思います。実際、「土地の権利書が見当たらない!どうしたらいいでしょうか?」というお問い合わせがありましたので、こういう場合の対処の仕方をご紹介いたします。

まず最初に、法務局に電話して「権利書、印鑑登録証が見当たらない」ことを告げ、最近権利書の記載が変更されたかどうか確認してください。具体的な変更内奥は電話では教えてもらえませんが、変更があったかどうか、また担保の設定がなされているかどうかは、電話でも教えてもらえます。

次に市区町村の役所、役場へ電話して『印鑑証明書』の発行を止めてください。これも電話で対応可能です。次に直接本人が役所に行って、印鑑証明書の発行履歴を確認します。この時本人であることの証明書(運転免許証など)を必ず持参してください。本人確認ができないと、詳しい内容は教えてもらえません。

この時点で、「権利書の記載変更はなかった」「印鑑証明書の発行もなかった」となれば、役所で印鑑登録廃止の手続きを行ってください。この手続きはあとで印鑑が見つかった場合には、再登録が可能です。

次に法務局に行き、権利書(登記済証)と印鑑登録証を紛失したことを連絡してください。法的には権利書と印鑑証明書を持参していれば登記の変更手続きを止めることはできません。
 今回のご質問のお客さまは震災対応として、地震があったらすぐに持ち出せるように新たに置き場所を替えて、その置き場所を失念しまったという笑い話で済みましたが、「悪用されたらと思うと、夜も心配で眠れませんでした」と胃が痛くなるような思いをされたそうです。

あと、参考までに申し上げると、権利書の再発行はできません。心配なことがあれば役所や法務局、専門家にご相談ください。

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■ 相続方法について 財産は相続したい!でも負債はNG!!

・ 2011/01/23

○ 財産に借金が含まれている場合にはどのように相続したらよいでしょうか?

確かに財産は100%プラスの財産だけとは限りません。残念ながら借金のような負(マイナス)の財産も有ります。亡くなられた方が、プラスの財産とマイナスの財産を残した時の相続についてご説明します。

一般に相続といった場合には、プラスとマイナスの財産を含めて、無制限に被相続人(亡くなられた方)の財産を相続することを意味します。これを単純承認といいます。家庭裁判所に申請をしないと、「単純承認」とみなされます。

しかし相続では、負の財産がどれほどあるかわからない場合があります。このようなときには、債務を相続財産の範囲内に限定して相続することが認められています。
 これを「限定承認」といいます。

一方、当初からマイナスの財産の方が大きいことが明らかな場合には、財産の相続そのものを拒否することもできます。これが「相続放棄」です。
 相続放棄でよく聞かれるのが生命保険の取り扱いですが、保険の受取人になっていれば問題なく保険金を受け取ることができます。

相続放棄も、限定承認と同じで、相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申請します。

尚、相続放棄では、最初から相続人とならなかったとみなされるので、相続人が相続の開始以前に亡くなったり、また相続人の資格を失ったりした場合に、その子供が財産を相続する代襲(だいしゅう)相続も発生しません。

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